カフェケシパール14周年を迎えて
春には桜が咲き、
夏には日差しが照り付け、
秋は木々が色づき、
冬には冷たい空気で鼻を赤くする。
また春が来て、桜を待ち、
夏の暑さにうなだれ、
秋にはちょっと寂しくなり、
冬には静かに物を思う。
繰り返す四季の中で、
その年のその瞬間瞬間で、
何を感じ、何を思うのか。
私たちが神戸にやってきて、
ケシパールを始めてから、
14年の月日が過ぎました。

3年間は頑張ろうと思っていた、不安に押しつぶされそうだったスタートのあの頃とも、
自分で決めたゴールまではやり切った、達成感あふれる3年目のあの頃とも、
気がつくとさらに3年、私自身が出産でお店に立たなかったあの頃とも、
自分で自分を褒めたくなるくらい「頑張った」と語れる10年目とも、
もちろんそこからの3年とも違った、
14回目の春。
13周年からのこの月日は、
「ケシパールをもう一度作り直す」ということを、
真剣に考えていた1年でした。
そしてまだまだその道半ばの、
14周年のこの日。
たくさんのお客様に励まされ、
大切な仲間たちとともに、
また新たな季節の始まりを迎えられることに、
大きな喜びと、深い感謝、
これからもきっと続くであろうストーリーへの思いで、
胸がいっぱいになります。

先日、3月末の卒業シーズン。
"小学生の頃からお父様と一緒にケシパールに通っていたお嬢さん"の、
中学校の卒業写真を見せていただきました。
ついこの間は、初めてこられたお客様が
「ケシパールできた時、俺まだ6歳や!」と驚いてました。
学生時代からの常連様が、お子様と一緒にご来店されるようになったり。
就職、転職、転勤など、人生の節目で神戸を離れることを寂しそうに報告してくれる常連様たち、
それでも神戸に立ち寄るたびに顔を見せにきてくれる方もたくさん、
さらには、「神戸に戻ってきました!」と嬉しそうに挨拶にきてくださったり。
開業当初パパままの抱っこ紐に入った赤ちゃんだったお子様が、中学生のお姉さんになってご来店してくださったり。
お母様が昔ケシパールに通っていたという話を聞いて、その娘さん息子さんがご来店くださったり。
同じように繰り返しているけど、確かに流れている年月ともに、
ちょっとしためぐりあいだったり、ちょっとした出来事だったりに
歴史や時代を感じる瞬間も多くなりました。
「笑顔で笑顔を作ること」
そこで働く人が変わり、
店舗が増えたり、
時代が移り変わってもなお、
ケシパールは開業当初のあの時から、
ずっと変わらぬ信念のもと、
歩み続けています。
そう公言しておきながらも、
時により、
お客様に正しく伝わっていないな…、
心からの笑顔を作れていないな…、
がっかりさせてしまったかもな…
そんな情けないこと、悔しいことを感じながらも、
なかなかうまくいかず、
もどかしく、はがゆい時間も
果てしなく、果てしなく、
たくさんありました。
ここ数年は特に、
私たちの思い描くカタチから大きく外れてしまっているという体感が
悔しいけれど確実にあり、
「ケシパールの文化を再構築する」ということを自分たちの中で掲げ、
見直していました。
思い立てさえすれば物事はうまく進む…そんなことは全くなく
「私たちが『私たち』であること」、
「チームとして」大きなことに立ち向かう覚悟、
芯からの共感と理解の重要性を、
改めて痛感しました。
「時代は繰り返す」と言います。
まだ幼い頃に、自身で決めた「笑顔で笑顔を作る」というライフワーク。
それこそが自分の生きる意味なのだと孤独に懸命に目指していたあの頃。
当時はまさか予想もしていなかったけれど、
夫と二人で目指すことになり、熱中した日々があり、
さらにそこにケシメイツ(スタッフ)を交えて、覚悟して目指した、
難しくも楽しい日々があり、
今はまた、
たくさんのメイツを介して、
「笑顔で笑顔を作る」ということを目指す日々。
気がつけば、
何度も何度も立ち止まっては、
同じことを志し直し、
歩みを進め直しているー。
何度も壁にぶつかり、
その都度思考し、挑戦し、
忍耐と精神力を持って、じりじりと歩んできた。
壁や困難はどんな道にも存在するもの。
それをどう捉えて、どう立ち向かって、どう越えていくのか。
勇往邁進。
一進一退。
その道のりはいつも大変ではあるけれど、
振り返るときちんと踏み固められ、
たくさんの人の言葉や愛で溢れていて、
いつも自分たちを奮い立たせてくれます。
改めて、
いつもご来店くださっている皆様、
応援してくださっている皆様、
本当にありがとうございます。

店内で過ごされている時間にも、
周りの人達へ目を向けてくださっている様子、
ー私たちを追い越して、他のお客様のために扉を開けてくださったり、
混雑時には何を言わずとも、席を移動したり譲ってくださったり、
我々や他のお客様が困った時には助け舟を出してくださったり、
店内のお子様を一緒に温かく見守ってくださったり、
そこにいる皆さまが自分の世界だけでなく、
周りの人に対しても温かい気持ちで、心地よく気持ちよく、
過ごされてるな、と感じられるとき、
本当にケシパールという世界がきらきらと美しく見え、
こういった時間、空間、世界を、
作り、守り、広げていくんだという信念を強く励まされるとともに、
本当に日々の中で、
皆さまにたくさんたくさん助けられていること、
励まされていること、
支えていただいていることを改めて実感し、
感謝の気持ちと共に、
皆様のそんな思いに「お応えしたい」という情熱が溢れてきます。
本当に本当に、
ありがとうございます。

ケシパールの始まりから14年。
人間だったら中学生です。
生まれたての時とも、
保育園の時とも、
小学生の時とも違う、
新たな次元での悩みに立ち向かいつつ、
しっかりと地に足をつけながらあゆみを進めていきます。
まだまだ未熟な私たちですが、
「先の世界」にワクワクしながら、
これからもじっくりと、
皆様と一緒に、
「ケシパール」の世界を広げていきたいと思っています。
そこまでも、
その先も。
皆様の期待に応え、
超えていけるよう、
14年目の月日も、
一日一日、
一瞬一瞬を大切に、
一生懸命頑張っていきます。
今後ともどうぞ、よろしくお願いします。
書き切れないほどの愛と感謝を込めて
オーナー なつパール・たつパール
