カフェケシパール5周年を迎えて



2011年、4月29日にオープンしてから5年。


本日、
カフェケシパールは5周年という大きな節目を迎えました。
(と書いてから、もう3日も過ぎてしまいました。すみません。
そして、ありがとうございます。それほど忙しくさせて頂いてる特別営業です。)




オープンと同時に沢山の常連様が駆けつけてくださり、
あっという間にお花がいっぱいになって、
それが閉店まで続いて、
なんだか夢でも見ているかのような
ふわふわした時間が過ぎていきました。



お祝いのメッセージやプレゼントを用意して下さったお客様。

わざわざお祝いに駆けつけてくれた友人。

「こんにちは。」
「ごちそうさま。」
「また来ます♩」
という、いつものご挨拶に
「おめでとうございます!」を添えてくれる常連様。

長く通って下さっているお客様の中には、
涙ぐんで成長を喜んでくれる方も。

皆様の気持ちや笑顔が、
本当に嬉しくて幸せで。

成長した我が子「ケシパール」が、
皆に祝福されていることを心から感じて、

なんか「娘を嫁にやるような気持ち」になってしまいました。笑

それはもう、
手間も人生もかけて、育てた子ですから。

そんなケシパールを大切に思ってくださって、
支えてくださって、
本当にありがとうございます。
心から感謝しています。



5年というと、近いようで遠く、
オープン当初から想像していた未来とは
今、
いい意味で大きく異なる世界を見ています。


この5年の間に、

何もないところからケシパールを生み出し、

私たち夫婦だけのものだったケシパールが、
私たちだけのものでないものに変わっていった感覚を経験し、

ケシパールを一緒に作っていきたいという仲間に恵まれ、


そして今、

周りから見た「カフェケシパール」は、
きっともう最初の頃とは全く別の世界なんだなと感じています。


それはとてもすごいことで、
私たち夫婦二人だけでは到底到達できなかった世界で。
でもちょっと寂しかったりもする。
そんな5周年。



3周年以降は特に、
私たちだけだった当時とは形を変えて、やり方を変えて、
がむしゃらに頑張ってきました。→「三周年のブログ」


最前線で「全てのお客様と直接」関わっていた頃とは違い、
面とむかってお話しするチャンスがぐっと減りました。

「こんにちは」という挨拶ひとつ、
常連さまと扉越しに会釈する瞬間ひとつ、
オーダーの時に交わす、他愛も無い一言でさえ、
チャンスの少ない私たちとっては大きな意味を持つ場面になります。


忙しい最中、その貴重な”ワンチャンス”が
今まで通りには行かず、自分の思うようにならず、

至らないところを日々自覚しては、
悔しい思いをすることが多かった気がします。


見えていたものが見えなくなって、
聞こえていたものが聞けなくなって、
何だか寂しかったり、自信を無くしたり。


でも、
時にはお客様の笑顔に励まされながら
時には私たちのもとで働く、
ケシメイツ(スタッフ)の楽しそうな姿に励まされながら、

 
気がつくとまた純粋に、
お客様の笑顔そのものを楽しめるようになっていました。

 


そして、やってきた5周年。





開業準備を始めた頃の、
養生シートを張っていたトイレ。

開店当初、壁一面に備え付けられていた黒い鏡面の棚。

オープンだったバースペース。

レジ前に置いていたパキラの木。


 

朝も夜も、
暑い日も寒い日も、
営業日も定休日も、
沢山の時間を過ごしてきたこの場所。

    

切り貼りして塗り替えて、
つぎはぎして組み立てていった、
メニューと内装、




そして、
「カフェケシパール」というお店。






「人生を削って、

カフェを作っている」と、
私たちはよく冗談で言い合うのですが、

私たちにとっては
まさにそんな風にして、
今のケシパールがあるのだと思います。



ただの板を並べただけだった窓側カウンター席のテーブルも、
つるつるだった床も、
事務所仕様だった階段も、

 



オープン当初、
ガラガラだった店内も、


今ではほとんどのものが、
変わってしまったけれど、

今の「ケシパール」のどの部分を切り取っても、
強烈に思い出が蘇り、
懐かしさがこみ上げてくるような、

そしてその変化や成長が、
じんわりと嬉しく、温かく思えるような。

そんな場所。

 

自分たちの手で、
お店を作ってきた私たちだからこその
感覚なのかもしれません。






でも、この場所へ来る様々な人にとっても、

初めてでもどこか懐かしく、温かく、

いつ来ても、
何か違っていても、変わっていても、
いつも同じものが流れているような、

そんな特別な場所でありたい。


たとえば学び舎の。
たとえば故郷の。
たとえば山や海の。

魂に強烈にぐっと引っかかるような、
なにか。


「懐かしさ」や「親しみやすさ」、
あるいは、
「歴史」や「変遷」といった、
過去からつながった物語が感じられるような、
そんな場所。





今、フロアを見渡せば、

私たちの「笑顔で笑顔を作る」という信念に共感し、
自分の笑顔でお客様を笑顔にしているケシメイツ(スタッフ)がいて、

逆に温かい言葉で私たちを笑顔にしてくれるお客様がいて。



「笑顔で笑顔をつくる」ということを
この五年、
一生懸命やってきましたが、

それによって、人が、世界が、
こんな風につながっていく。

こんな素敵なことを、
日々体験している私たちは、
本当に幸せ者です。





こんな風にして歩んできた5年間は、
私たちにとってはとても色濃く、
何にも代えがたい宝物のような時間でした。

本当にありがとうございます。









そして、これからのこと。


私たち二人で作り上げてきたこと、
その延長線にしかないようなことを、
ただ、
仲間たちと一緒に"なぞる"ような時間はもう終わり。




これからは、

私たちと、ケシメイツと、
そしてお客様と一緒に、

新しい物語を、
新しい世界を、
新しい歴史を紡いでいく。


そんな「コレカラ」に一生懸命精進していきたいと思います。




子供のように愛おしいケシパールと、
孫のように可愛いケシメイツと、
そしてその成長を親兄弟、親戚かのように楽しんでくれる、温かいお客様。

そんな全てと一緒に。

私たちだけでは届かなかった未来へ。

 



まだまだ成長途中の、こんな私たちですが、
どうぞこれからもよろしくお願いします。



最後になりましたが、
本当に、
五年間、ありがとうございました。



書ききれない程の感謝と愛をこめて
達也・名都子









新しい物語の始まり。


ほら、
鳥のさえずりが聞こえる。